看護学校へ行こう
オペ室というものは、一部屋ではない。大きい部屋、小さい部屋と、4~5個ある。前立腺肥大のオペなどスタンダードで短時間で済むオペだと小さい部屋で行う。ちなみにテレビドラマなどでよくやる、ドクターが「メス」と言うと、ナースがゆっくりとドクターにメスを手渡すシーンがあるが、実際は違う。ドクターが何も言わなくてもナースはぱっぱとドクターに物品をスピーディに渡していく。よほどの大手術でない限り、手術が頭に入っているので、次々専用器具を渡していけるのだ。ちなみに初めてメスで皮膚を切って、血が出て内臓が見えたとき、ご多分に漏れず、私は気分が悪くなった。人の皮膚を切って、血を出すのである。しかも内臓まで見えるほどに深く切るのだ。初めて見て気持ち悪くならない方が、どうかしているだろう。だがそれも、実習がすすむにつれ慣れてしまうから不思議だ。ただ、電気メスで腸を切断するときの匂いには参った。なんというか、火葬場の匂いである。大腸癌の人の切除した病巣をドクターが学生を集めて見せてくれたことがあったが、真っ黒だった。魚のこげのようである。
オペ中は、必ずしも緊迫した状態とは限らない。良くやるオーソドックスなオペは、ドクター同士会話しながらやることもあるし、鼻歌を歌っているドクターもいた。こういうと普通の人は心配するかもしれない。だがポイントは押さえている。そこら辺はプロである。だから心臓のバイパス手術などは緊張である。こういうときはみんなぴりぴりしていて、学生の怒られる頻度が増えるから嫌だ。あと地味だが意外に大変なのが、目の手術である。これは全身麻酔で行う。少しでも頭が動いたら操作に支障が出る。目は繊細な作業を地道に行うオペなので、学生はあまりつかせてもらえなかった。
昭和の末期の頃の、手術裏話である。
オペ中は、必ずしも緊迫した状態とは限らない。良くやるオーソドックスなオペは、ドクター同士会話しながらやることもあるし、鼻歌を歌っているドクターもいた。こういうと普通の人は心配するかもしれない。だがポイントは押さえている。そこら辺はプロである。だから心臓のバイパス手術などは緊張である。こういうときはみんなぴりぴりしていて、学生の怒られる頻度が増えるから嫌だ。あと地味だが意外に大変なのが、目の手術である。これは全身麻酔で行う。少しでも頭が動いたら操作に支障が出る。目は繊細な作業を地道に行うオペなので、学生はあまりつかせてもらえなかった。
昭和の末期の頃の、手術裏話である。