看護学校へ行こう
ということで、朝の8時頃病院の玄関で真坂さんを待ち伏せする私たち。やがて真坂さんが現れた。4人で駆け寄り、

「あのう、実習のことなんですけど。」

と言いかけたら真坂さん、

「あなたたち何考えてるの!まだプライベートな時間よ。常識が無いにもほどがあるわ!」

と激怒して行ってしまった。私たちにしてみれば、苦肉の策なのだ。なにせやることなすこと怒られてばかりである。すっかり萎縮してしまった私たちは、隠れるように実習していた。何かすれば怒られるのではないかとびくびくし、積極的に看護処置に携わるということをしなかった。それが真坂さんを、ますます刺激し、怒らせるのだ。本来こういう場合、担当教務が間に入って学生を指導したり、主任から話を聞くなどして、実習がスムーズにいくようにするのだが、私たちの担当教務は、教務になりたての田川先生だ。この先生自体、かつて真坂さんに教えをこうた人で、真坂さんから信用されていない。ときどき教務の田川先生まで真坂さんに怒られている始末だ。もう教務はあてにできない。

 私たちは教務長のチムチムに呼び出された。

「あなたたち、なんで朝待ち伏せなんかしたの。主任さんものすごく怒って、私に直接苦情を言ってきたわよ。」

と告げられた。もはや私たちはなすすべ無しである。4人とも、半ば諦めていた。
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