看護学校へ行こう
 さて、夕食である。お願いだから魚はやめてと祈りながら食堂へ行くと、肉料理だった。豚肉のステーキ風である。ところがこれが、めっぽう固い。食いちぎれない。私たちの寮の食事は病院食の余りだから、患者さんもほぼ同じものを食べさせられているだろう。こんな固い肉を食べさせられている患者さんも気の毒である。この肉は結構頻繁に食卓にあがり、のちに私たちで「ゴム肉」と命名した。

 食堂にはテレビがある。だが、食堂は二つに分かれていて、テレビが置いてあるのは一部屋だけだ。もちろんテレビのある部屋は、二、三年生が使う。従って私たちは、まったくテレビを見ない生活を送っていた。テレビと接しない生活など、18年間したことがなかったが、見なきゃ見ないで慣れるもので、なんら困ることはなかった。ただ、どうしてもみたいときは、立ち見である。しかしこの頃は、見たい番組もこれといって無く、一年生でテレビを見る人は誰もいなかった。

 毎週月曜日は「お部屋討議」というのが寮内である。一年生から三年生まで部屋ごとに各班分かれて一年生の部屋に集まり、寮内の規則について話し合うのだ。ちょうど2回目のお部屋討議の時、二年生から「嘘コン」について説明される。先輩の部屋をまわる「お部屋まわり」が終わった頃だ。
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