看護学校へ行こう
かくしてその日はやってきた。やっぱり4チームに分かれる。患者さん役はベッドに寝てもらい、ベッドの上半身を起こした状態で行う。他のメンバーが見守る中、ナース役の子は震える手でチューブに潤滑油をつける。患者さん役の子は固まっている。チューブを入れる方も入れられる方も、かなり辛い。いよいよ鼻にチューブを入れる瞬間がきた。患者さん役の子は目をつぶっている。ナース役の子はおそるおそる鼻にチューブを入れる。このとき鼻の奥でつっかかるところがある。ここが難関である。そのつっかかるところが患者さん役にはもっとも痛いところなのだ。私たちは下手くそだから、なんどもつんつん、つっつくことになる。そして無事そこを突破すると、のど元までチューブが降りてくる。ここで「おえっ」っと吐き気がくる。のどに指を突っ込むと吐き気がくるのと同じ反射である。ここが第2の難関となる。チューブが食道におりず、口の中でとぐろを巻いてしまいやすいのだ。これは手慣れたナースでも起きてしまう。ある程度は仕方がないことである。だがせっかく我慢したのに口の中でとぐろを巻いてしまったら、一度チューブを抜いてやり直しだ。中には咳き込む人もいた。チューブが気管に入るとそうなる。鼻の奥は、食道への道と気管への道の両方があるから難しく、この分岐点がつっかかるところだ。皆苦しみながら演習をし、私も挿入した。幸い一発で食道に入り、45センチ挿入したところで聴診器を胃の上にあて、注射器で空気を入れる。このときボコボコっと音がしたら、チューブが胃にちゃんと入っている証拠である。