看護学校へ行こう
それを確認したら、さらに10センチ挿入し、チューブを鼻の横で固定して栄養物を注入する。が、演習では栄養物の注入は省略された。従ってチューブを固定したら終了である。

 さて、とりの患者さん役は私である。

「遠慮無くやってね。」

などと余裕を見せるが、内心おびえていた。緊張でがちがちになっていると、いよいよチューブが鼻にせまってきた。私は目をかたくつぶってこらえる。チューブが鼻に入り、分岐点でつっかかる。キーンと痛みが走り、思わず顔をしかめる。と同時に全身に力を入れていたら、足がつってしまった。

「足、足がつったあ~。」

と私が叫ぶと、他のメンバーが足をさすりながら、

「頑張れ、頑張れちゅう。」

と応援する。もはや施行するナース役の子より、患者さん役への応援である。なんとか鼻の中の分岐点を通過したら、チューブがのど元まできたのがわかった。と同時に「おえっ」と吐き気がする。抑えられない吐き気で、何度も「おえおえ」を繰り返す。そこでナース役の子が

「ごっくんと飲み込んでください。」

と言う。ここがみそなのだ。
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