看護学校へ行こう
次に寮内に案内された。寮は、6畳間は4人部屋、3畳間が二人部屋であった。一年生は皆4人部屋である。部屋に入ってまず目に入ったのが、壁に張り付いている長い板だった。それが4人の勉強机だった。その長い板を4等分してみんなで使うわけである。随分簡単な作りである。あとロッカーが一人一つと、作り付けの二段ベッドが4人分あった。さて、いざ荷物を運び入れてみて気づく。寮の食事は昼食と夕食だけだから、朝食は自分たちで用意しなければならないということだ。となると、部屋で簡単に用意できる食事と言えば、トーストとあたたかい飲み物くらいだろう。ということは、オーブントースターと部屋に一つくらいは電気ポットが必要なわけで、まあ電気ポットはあとで同室者と相談して決めるとして、トースターは一人につき一つは必要だろうと言うことで、慌てて買いに行った。ちなみに電化製品は本当は持ち込み禁止である。食堂に一応電子レンジとオーブントースターがあるから、それでまかなえというのだ。だが、いちいちトースト一枚焼くのに食堂などに行ってはいられない。現実的に考えて、生活できない。なので、オーブントースター、ポット、ドライヤーは黙認されていた。あとみんなこっそりラジカセを持ち込んでいたが、これは私たち若者には必需品であろう。何せテレビが食堂に一台しかないのである。さすがにテレビは持ち込めないので、私たちはこの先3年間、ほとんどテレビを見ないで過ごすことになった。もっともテレビなど見ている暇も無かったのだが。

 さらに各ベッドには自前でカーテンを取り付けなければならない。寝るときは、病院の患者さんだって、カーテンをひく。この、カーテンをひいて寝る時間だけが、唯一プライバシーが保たれる時だった。あと、本を入れるためのカラーボックスも必要だと言うことがわかった。こういうこと、事前に教えて欲しいものであるが、入寮してみて不便な思いを経験して、初めて必要な物がわかるという始末だ。とりあえず、これだけ買ってもらって、なんとか生活必需品は最低限そろった。
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