看護学校へ行こう
相手に遠慮して、ゆる~く巻くから、意味がないのである。ようやく駆血帯を巻いても、針を刺すまで躊躇するから腕が青紫色になってくる。それで患者さん役の子が、腕が苦しいと訴え、一度駆血帯をはずし、再びやり直しである。あまりにも私たちが躊躇していたので、先生から

「早くしなさい!」

とおしかりを受ける。そこで皆、意を決して採血に挑み始めた。震える手で針をゆっくり刺す。ここで一発で血が採れるのは、希である。下手くそで血管に針が到達しないから、何度も血管を探る。針を出し入れするのだ。苦痛に顔をゆがませる患者さん役の子。ここで見回りに来た先生から、

「一度抜いて、やり直してください。」

と言われ、失敗に終わる。再び刺される羽目になる患者さん役の子。上手な子もいたし、血管が異常に浮き出て、ちょっと針を刺しただけですぐに血が出る子はお互いラッキーである。しかし18~19歳の女の子はたいてい華奢な腕で、男性ほどたくましくなく、血管は細くて見えにくい。だからなおさら失敗するのである。ちなみに私は血管が見えにくい。先生が、

「ここに血管が触れるわよ。」

とナース役の子に教えるが、青紫色に血管が浮き出ないから、わかりにくかった。私は4度目に針を刺して、ようやく成功してもらった。中にはあまりに刺されて、ナース役の子が、

「ごめん、痛いでしょう?」

と言うと、

「痛くないわけないじゃん!」

と切れている子もいた。
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