看護学校へ行こう
　また、実際痴漢問題が起きたことがある。私たちがスーパーへ買い物に行くとき、寮の前で十代半ばくらいの男が歩いていて、私たちの前で倒れた。私たちはかけより、

「どうしたんですか？」

と聞いた。すると男は、

「苦しくて立てない。手を貸してください。」

と言い、うずくまっている。だが何か変である。

「病院に行った方がいいですよ。」

と声をかけ、私たちはその場を離れた。ところがある日、まきよちゃんが一人でスーパーへ行こうとしたとき、男が歩道でうずくまっていた。まきよちゃんが近寄ると、

「歩けないので手を貸してください。」

と言う。それでまきよちゃんは、

「しっかり！」

などと声をかけながら、男の腕を自分の肩に回して、支えながら歩き始めた。すると男は回した手を下へ伸ばし、胸をもみ始めたと言う。ここで初めて「痴漢」だと気づいたまきよちゃんは、「キャー」と言って、寮に戻ってきた。この話を教務に報告したところ、すぐさま警察に連絡し、全校集会で説明を受けた。
< 44 / 162 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop