看護学校へ行こう
看護研究
 7月、6人チームで「看護研究」をする授業があった。看護研究のなんたるかは授業であらあら学ぶが、基本的には研究論文の書き方本で、自己学習である。そのあと編成された6人で集まり、研究テーマを相談した。研究論文など、初めて携わるから、テーマを決めるのも一苦労だ。いろいろ話し合い、私たちのグループは「褥瘡(床ずれ)」について研究することにした。と言っても褥瘡の何に視点をあてるかが決められない。研究の目的がわからないから、仮説もつくることができない。仮説がつくれないから、検証方法がわからない。よって、

「看護研究って、いったい何をすればいいの?」

と話が何度も振り出しに戻った。それでもなんとか先生に聞きながら、

「人はどのくらいの時間、皮膚が圧迫に耐えられるかを調べる。」

ことに目的をしぼり、

「同一体位で何時間耐えられるか?」

と言う実験をすることにした。

 幸いメンバーは全員寮生だったので、夜にみんなで茶道室に集まった。研究方法は仰向け、横向き、うつぶせの3種類で、2人ずつ交代で畳の上に寝ることにした。時間は3時間とした。しかし。まずこの方法はまったく根拠が乏しい。実際の患者さんはベッドで寝ており、下にはシーツが敷いてあるわけだから、同じ条件にすべきである。また、うつぶせに寝るなど、普通はあり得ない。それにどこから3時間などという目安を出したのか。つっこみどころはいくらでもある。だが教務の先生が余り突っ込まなかったのは、この研究の授業の目的が、「研究とは何かを知る。」というところにあるからだ。だから自分たちで行ってみて失敗に気づくのもまた勉強になるというわけである。
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