看護学校へ行こう
 かくして私たち6人は、夕方6時から実験を開始した。畳の上に仰向け、横向き、うつぶせと、ただ3時間寝る。で、一時間ごとに圧迫部位の温度を測り、皮膚の変色を見るという、至って簡単な方法である。もはや実験とはほど遠いのだが、とにかく訳もわからずやってみようと最初の3人が寝た。当然のことながら、一番辛いのはうつぶせの子である。下は直に畳だ。それを残る4人で

「頑張れ、頑張れ。」

と励ます。最初の2時間はみんなでおしゃべりに興じていた。だが2時間を過ぎる頃から、

「ううっ・・・」

とうつぶせの子がうめき声をあげはじめる。うつぶせ役は小崎である。

「辛いよう。もう耐えられない。」

「小崎、あと45分頑張るんだ!」

本来なら我慢できない時点で結果が出ていると言うことになるのだが、何もわからない私たちは、小崎に無理強いをした。

 時間は9時となり、ようやく自由の身となった2人。小崎はうつぶせ状態で頭を右の方へ向けていたので、下になるのは左頬である。耳も頬も真っ赤だった。腹部と足は変色はなかった。次の3時間は仰向け、その次は横向きと、夜中の3時まで実験した。2番目は私の番だ。私は仰向けになった。仰向けは比較的楽な姿勢だなと思っていたのだが、長時間同一体位というのは、やはり辛かった。2時間を過ぎる頃から背中がピリピリするのだ。実験が終了したのは夜中の3時である。だがこれで研究が終わった訳ではない。ここから結果、考察、おわりにを書かなければならない。
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