看護学校へ行こう
お茶を一口飲むたびに抹茶がゆらいでおかめの笑顔と対面するからたまらない。私はとうとうお茶をぷーっと吹き出してしまった。

「どしたの?」

と先生。

「すみません、ちょっと咳き込んで。」

と謝るが、おかしくてたまらない。なんとか時間をかけて、やっとの思いでお茶を飲み終えた。それから次々一年生がお茶をいただくが、皆笑いをこらえるのに必死である。

「良い茶碗を。」

と言い、買ってきた先生の意図とは何だったのか。本当はふざけるのが好きな人で、私たちを笑わそうとしたのではないか。心の中で受けを狙ったのではないかと思ったが、後におかめ茶碗は「魔除け」の意味があると言うことを知る。先生はやはりまじめな人で、受けなど狙わずに由緒正しいものを持ってきたまでであった。
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