看護学校へ行こう
そしてまやちゃん。あの、夏休みに「細胞の図の勉強」だけした人だ。私はまやちゃんと一緒の部屋になって、内心ほくそ笑んだ。

「やった、半年楽しめる。」

と思ったのだ。かくして私たちは、共同生活を始めた。ふじ山は不良だったと自分で言うけれど、ものすごくきれい好きだった。それで、

「部屋はきれいに使おう。」

と約束した。彼女は私たちがこぼしたお菓子のくずなど、すかさずガムテープでぺたぺた取り除いていた。はっきり言って他のメンバーは、寮内でもずぼらな方だった。それがふじ山のおかげで整理整頓を心がけるようになった。ありがたいこと・・・だ。シロクマちゃんは彼氏がいたようで、毎週必ず外泊していた。そりゃあそうだろう。あんな美人を男が放っておく訳はない。このシロクマちゃん、実は後に宝石商の一人息子と結婚し、社長夫人となる。お手伝いさんつきの家に住むことになるのだが、この頃はそんなことは知るよしもなかった。

 そしてまやちゃんだが、期待通り面白い人だった。ある日突然、英語で日記をつけると言いだし、書き始めたものの、5日で断念していた。その日記を見せてもらうと、最初の日は「アイアムフーリッシュ、アイアムスタディングイングリッシュ(私はおろかである、私は勉強しなければならない)」と書き出していて、それで終わっていた。英語で日記を書くと言うくらいだから、真剣に辞書などで調べて書いていたかと思いきや、「今日は曇りだった」とか、「今日は買い物へ行った」など、簡単な単語で構成されている英文ばかりであった。そしてとうとう5日目には「Oh、Oh、Oh、Oh、Oh」だけ書いてあり、以降白紙となっていた。申し訳ないが、英語の日記と自慢できるものではないだろう。私は笑い転げてしまった。
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