看護学校へ行こう
午後は患者さんとひたすら話をした。聞ける情報をできるだけ聞き出そうとしたのである。実習そのものは、その日はまだ難しくなかったし、情報収集に終始する私たちを黙認しているようだった。だが怖いのは、赤田さんが怒っているときではない。黙っているときの方が怖いのだ。やる気のない学生とみなされたら無視をする。話しかけても返事もしないし、レポートにクエスチョンマークもつけない。怒られているうちが華なのである。

 寮に帰り、みんなでミーティングをした後、10分で風呂に入り、ご飯を急いで食べ、レポートにとりかかる。まず今日体験したことを書く3号紙からだ。今日はたいしたことはしていないが、患者さんの病気について、文献で調べたことを書く。それが終わると1号紙を書き始めた。カルテに書いてあった既往歴、現病歴、入院までの経過、家族背景、検査データと、本人から聞いた日々の生活などを詳細に書いた。1号紙が書き終わった時点で午前3時。あと5時間しかない。眠いと言っていられる状況じゃない。しかし次にとりかかるのは2号紙つまり看護計画だ。学校で習ってはいても、実際に初めて立てるのは難しい。その患者さんの何を問題点にあげるか。その問題を解決するための目標と具体策とは何か。そもそも「糖尿病」自体知識が薄いうえ、いったい白内障とどっちの看護を優先して良いか、わからなかった。そうこう考えてるうちに、オールナイトニッポンの第2部が終了した。もう5時だ。とりあえず糖尿病の方が重そうだから、、糖尿病のコントロールを第1目標にした。白内障は2番目にあげた。
< 87 / 162 >

この作品をシェア

pagetop