看護学校へ行こう

　私たちは、きたるXデーに向けて、新しい服を用意し始めた。親に小遣いをせびって買う者、朝食をケチって、前日のご飯の残りにふりかけをかけて食べて節約する者など、様々だ。私は小遣いをできるだけ使わないようにして、毎週土日の飲み会もパスして節約した。母親には言えない。母親は男女関係にうるさい。昭和10年生まれには、嫁入り前の娘が、男女が入り乱れて遊ぶなど、理解不可能だろう。私は元々持っているブラウスに、ピンクのスカートを新調した。これで月末までお菓子も買えない。ちなみに寮内では新しく服を買ったら、みんなの部屋をまわって、

「どう？」

などと見せびらかす習慣があった。逆に見せに行かないと、

「ちゅう、服買ったんだって？見せてよ。」

と部屋に押しかけてくるのだ。だから合コンまでの間はお互いの部屋を行き来しては、

「派手だよ～。」

「お、似合うじゃん。」

などコメントし合っては楽しんでいた。

　かくしてある土曜日、合コンの日が来た。皆外泊届けを出した。だが二年生全員ではない。彼氏がいる者はパスである。ここが男と違うところと言うか、女はちゃんと彼氏に操を立てるのだ。まあ、若かったからかもしれないが、火遊びはしない。

　合コンは広いパブで行われた。私たちは20人くらいだったが、向こうは30人近くいた。予想外の人数の多さだ。みんな案外彼女いないもんだなあと思ったが、後の話によると、彼女がいても参加したやつがいるという。これだから男は！