看護学校へ行こう
「あの、麻酔はするんでしょ?」

「しないよ、そんなの。妊婦さんに聞いたら陣痛の方が痛くて、あそこの痛みは感じないって言ってたよ。」

男性陣は興味はあったらしいが、明らかに驚いている。私はなぜかちょっと優越感に浸った。一般人が知らないことを話して相手を驚かせるのは、なかなか痛快だ。だが思いっきり初めての男性との接近戦で、「陰部」などと口走る私。場慣れしていないとはいえ、加減すればよいものを。だがこれで会話はスムーズになった。

「俺、女に生まれなくて良かったー。」

「あ、でも泌尿器科に入院したら、尿道口から管入れるよ。」

「え、ほんと?それって痛い?」

「わかんないけど、みんな嫌がるよ。」

これには男性陣は恐怖におののいていた。尿道口に管を入れることを「導尿」というが、皆想像しただけで痛そうで、聞きたくないという。私は皆を怖がらせて、ますます嬉しくなった。

 実習ネタもつき、今度は男性陣の仕事の話になった。営業の話とか、取引の話とか、まるで想像つかない。私たちが押し黙ってしまうと、男性陣は気を遣ってお酒をオーダーしたり、ちやほやしてくれた。まあそうだろう。私たちは若さ爆発のぴちぴちギャルだ。寮内ではひどい格好をしていても、勝負の時は、ここぞとばかりに決めるのが女という者だ。それにここはカラオケパブなので、順番に歌わされる。いつもならチューブやサザンとか歌ってノリノリなのに、今日セレクトするのは松田聖子や小泉今日子といった、アイドル系の歌ばかりだ。皆、これでもかとかわいらしさをアピールする。いやらしいと言えばいやらしいが、大抵これで男は落ちる。
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