蜜事中の愛してるなんて信じない
 スイッチを押すと、ポンと蓋が跳ね上がった。

 勢い余った蓋が、ステンレスラックの上部、トースターが乗ってる部分に当たる。

 その音に気付いたのか、正志は、本から顔をあげて、私と目を合わせた。

「お前、何してんの?
まだ食うつもり?」

「有効利用よ」

 私は、左手に持ったA4、2枚をヒラヒラさせる。

「んなことしなくても、コンビニに走ればいいじゃん」

「こんな恰好で行けって言うの?」

「下穿けばいいだろ」

「あのねえ。正志が言ってくれれば、こんな苦労しなくていいのよ」

「意味わかんねえ」

「なんで言いたくないのよ!
たった5文字じゃないの!」

 正志は、ため息をついて立ち上がると、憤る私を見下ろし、寝室に入っていった。

 これじゃあまるで、私が駄々っ子してるみたいじゃない……。
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