蜜事中の愛してるなんて信じない
「違うわよ!」

 乾いた音が、蛍光灯の白いあかりの下、部屋中に響いた。

「いってえ。叩くことねえじゃんか」

「毎回とぼけるアンタが悪い」

「な、なんのこと?」

「言いなさいよ。シラフの状態で言っごらんなさい」

「俺、酔ってねえし。酒のんでねえもん」

「私のカラダに酔ってたじゃない」

「お前、それ自分で言うか? 普通」

「三年よ、三年間付き合ってるのよ、私達。
その間、一度足りとも聞いてないってどういうことよ」

「数えきれねえほど言ってんだろ」

「だから、それは、私のカラダに――」

「お前、それ言ってて恥ずかしくねえの?」

「うるさい! いいから言いなさい」

「何を」

「その手には乗らないわよ。『俺も』で済ませられてたまるもんですか」

「ちっ」

「あ、今、舌打ちしたわね!
ほら、さあ、言いなさい」

「あい……む、はんぐはっ!!
いってえなっ!」

「お腹蹴ったんだから、痛いの当たり前! なんで言わないのよ!」

「……男の美がぐあっ!」

 ルパンはしょっちゅう言ってるじゃない!

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