蜜事中の愛してるなんて信じない
「ア、アンタさ、こんな朝っぱらからうちに来て、遊んでくれる相手とかいないんでしょ?」

 精一杯の皮肉をつらつらと並べれば、正志は「ふ」っと鼻で笑って携帯を取り出した。

 か、感じわる。

 私は、扉の前につったったまま、動くタイミングを失ってしまった。

「宿題は?」

 ディスプレイを眺めながら、カチカチと操作を始める。

「あんたねえ、話すときは人の目を見て話しなさいよね」

「お前以外とはそうしてるけど」

 は、ら、だ、た、し、い!!

「あらそう。私が可愛いすぎるから、直視できないんでしょう?」

「お前、そういう事言ってると、友達なくすぞ」

「アンタに心配してもらわなくても結構です」

「あ、そ。で、宿題は?」

「そこにあるわよ」

 私は、机を指差した。
 正志は、ようやくディスプレイから目を離し、視線を横にずらした。
 その先にあるノートを覗き込む。

「わ、悪かったわね。終わってなくて」

「別に期待してねえし」

 コイツは、私の神経を逆なでるプロだわ。
< 24 / 51 >

この作品をシェア

pagetop