蜜事中の愛してるなんて信じない
「はあ? これだよ、これ!!」

「わーかんね」

「嘘おっしゃい! 視力2.0のくせに」

「ドリフの発想で俺が騙されると思ってんかよ」

「うるっさいわね! 私が考えたのよ」

「余計恥ずかしいやつだな、お前」

 正志は、うわー、とわざとらしく体をすぼめながら引いた。
 
 腹立つなあ、もう!!

「恥ずかしいとは何よ!
正志なんかね、あと十年したら老眼になっちゃうんだからね!」

「なるか、アホ」

「正志、知らないのお?
目がいい人って早く老眼になっちゃうんだよおだ」

「あ? 科学的根拠があるのかよ」

「正志はすぐそうやって科学に逃げる!
人間の体にはね、科学で説明できない神秘があるのよ」

「いずれ、全てが科学で説明がつくようになるね」

「ならない!」

「なるね」

「ならないったらならないの!!」

「あー、はいはい」

 正志は、そむけた顔の横で右手をヒラヒラさせて、降参の意を示した。

 よし、勝った!!

 あれ?
 何に勝ったんだっけ?
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