蜜事中の愛してるなんて信じない
「どうでもいいけどよ、いい加減、下穿け」

 勝ったには勝ったんだけど、あれ? 何かを忘れているような。

「おい、聞いてんのか?」

 もっと大切な……。

「風邪ひいても見舞い行ってやんねえぞ」

「ちょっと黙ってて。もうすぐで思い出せそうなの!!
ちなみに、彼女が風邪ひいたときは見舞いぐらい来なさいよね」

 ごはんを糊にまでして頑張った力作をガシガシ丸めながら、頭に血液を集めようと意識する。なんだったっけ?

「お前は、そういう事だけは耳に入るんだな。
呆れを超えて感心するよ」

「ちなみに、桃、買ってきてよね」

「しかも、図々しいときたもんだ」

「正志にだけは、それ、言われたくないんですけど」

「はあ? 言えだの、買って来いだの注文が多いお前には負けるな」

 言え?
 そうよ、それよ、それ。

「正志、どうして言ってくれなかったのよ!!」

「言うか、ボケ」

「理由を言いなさい!」

「お前こそ、なんでそんなにこだわるのか理由言えよ」

 理由だったら、あるわよ。
< 45 / 51 >

この作品をシェア

pagetop