蜜事中の愛してるなんて信じない
絶対言わせてやるから覚えてなさい


 日曜日の朝は、だいたい正志のアパートで目覚める。
 
「さあっ! これを読みなさい!」

 だいぶ高度が上がった太陽の光が差し込むリビングで、私は、一枚のメモ用紙を正志に突き付ける。

「なんだよ、これは」

 冷めた一瞥を私に寄越し、食パンをトースターに放り込む正志。

「見ればわかるでしょ。
妥協してやったのよ、妥協」

「結果同じだろうが」

「まっったく違うわね。
棒読みでもよしとしてあげようって優しさよ」

「断る」

「断るのを断るっ!」

「ふん、ガキ」

「何よ、オジサン」

「あ、てめ、言ったな」

「事実、ジョシコーセーの私にしたら、25歳なんてオジサンよ」

「世間のR25男子に謝れ」

「しかも、こんなこともスタイリッシュにさらっと言えない男なんて、化石よ、地中深くの始祖鳥だわ」

「ムカつく。ぜってー言わね。死んでも言わね」

 正志は、口の減らないガキは朝食抜きだとばかりに、焼き上がったトーストをこれみよがしに頬張る。

 くぅ~!

 絶対、言わせてやるんだから!
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