かけがえのない唄


「でも純、派手なことをしたなー」




健が呆れるように言った。
さすがにマスコミもここまでは追ってこない。



どっと疲れがやってきた。
やっぱりマスコミは疲れる。




お騒がせ、なんて妃菜がらみ以外はないからもうあり得ないんだけど。




もう二度とこんな目にあいたくない。




「俺は絶対出来ないな」




「悟はヘタレだもんな」




「うっせーよ、健。お前ならもっと派手なことやりかねないからなーバレるのはトップに立ってからにしてくれよ」



「ヘタレに言われたくねーよ、ヘタレに」



「はぁ?派手好きに言われたくねーよ」



二人が言い合いするのはいつものことだし俺はきっとテレビを見たであろう妃菜にメールを打つ。





『生、絶対見ろよ!』




数分後に返ってきた。




『うん。ワイドショー凄いことになってるよー生、頑張ってね』




やっぱりか。
それほど俺は知られてるのかなぁと思うとちょっと嬉しかったり。




何でか分からないけど、不安なんてなかった。





「おーい純、リハ始まるぞ」




いつのまにか言い合いは終了していて、多分悟が折れたんだろうと推測して俺は二人の後を追った。





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