明日死ぬ
痛みにもんどりうつ俺を見て彼女は冷製さを取り戻したらしく、ケータイをどこかにかけ始めた。

ヤバい!通報される!

残り少ない時間を警察なんかで過ごすワケには行かねー。

必死になり過ぎて一瞬で痛みを忘れた。勢いよく飛び起きると油断していたらしい彼女を思い切り両手で突き飛ばした。

「キャァァ!」

悲鳴をあげながら倒れる彼女がケータイを取り落とすのを見てとっさにケータイを蹴り飛ばしてやった。

そして飛んで行ったケータイとは逆向きに走り出した。

クソムカツクが早くこの場から逃げなきゃだ。

何かをわめく彼女を置き去りに俺はどことも知れない暗がりを駆けた。

< 107 / 203 >

この作品をシェア

pagetop