明日死ぬ
トイレで用を足して出るとカウンターの辺りの様子がちょいおかしい。

背の高い本棚に隠れながら近寄ってみると、さっき俺の入店手続きをした店員の声が聞こえた。

「ああ、このお客さんならたった今来店された所ですよ。この方何かしたんですか?」

「それはまだ判りませんがちょっとお話を聞きたいモンでしてね。で、まだ店内にいますね?どこの席ですか?」

「ああ、それなら……」

もう足が震えて聞いてられなかった。

警察だ!もう来やがった!ナンでもうワカルンだよ!いや何箇所も当たる内でのまぐれ当たりなのか?いやそんな事はどーでもいい。

思考はぐちゃぐちゃだったがこれだけは解った。

逃げねば。

店員との会話を切り上げた警察(と思われるスーツ姿の二人組み)が俺のボックスへ行くみたいなんで本棚に隠れてやり過ごす。

しばらく待ってから何気なさを装ってカウンターを素通りして店外へ。

出た瞬間ダッシュして店から出来るだけ遠ざかった。
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