明日死ぬ
立ち上がってトイレの入口を振り返ったら、さっき俺が手を離した時のまま二人はピクリともしていない。

殺しちまったか?

まあいい。どうせ数時間後に俺と一緒に死ぬハズだったんだからちょっと早まっただけだ。

幸運にもここまでは人に見られなかったらしく全然騒ぎになる気配もない。

が、こいつらをこのまま放置するのは流石にマズイだろう。

俺は三人を苦労して引きずってトイレの個室にまとめて放り込んだ。

そして一人から上着を剥ぎ取って水に濡らし、壁にベッタリとついた血を適当に拭き取る。

まあこれでここの壁を誰かが見ても事件性を考える奴はいないと思う。

別の一人から上着を剥ぎ取ってから、汚れた上着を個室の中で折り重なったままの三人の上に投げ捨てて個室のドアを閉まった状態で固定した。

これで発見されるのは手遅れになるほど大幅に遅れるだろう。

奪った上着をはおって流しにある鏡で自分の状態を確認すると、薄ら汚れてはいるが撮られた写真とは違う格好になってイイ変装になっていた。

よし。これで逃げ切れる。

俺の頭にはすでに三人の事なんてなくなっていた。

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