明日死ぬ
いつしか車は細いが見通しのいい直線道路を走っていた。

このまま進めばこの辺りの主要幹線道路と交差する。

交差点では当然こちらが一時停止なのだが……減速する気配がない!

今一人で歩いていた少年を跳ねるギリギリで追い越した。

まだ減速しない。

先の道路にはすり抜けるのは無理と確信できる程に車が走っているのが見えてしまう。

絶望する以外には泣く事も叫ぶ事も出来ないでいると、いくつかの視線をあびているのに気付いた。

一目つは幹線道路の歩道に立っている少女の辺りから。

二つ目は先ほど追い越した少年の辺りから。

三つ目は俺自身の中から。

俺の視線は前方に固定だが意識の輪郭で俺を見る瞳の存在を感じる。

いずれも微妙に印象は違うがどれも冷笑を浮かべているのはわかった。

< 163 / 203 >

この作品をシェア

pagetop