明日死ぬ
腕時計から顔を上げ二人を見比べてニッコリ微笑む。

これは本心からの微笑みだ。

この時の為だったのだ。

再び腕時計に目を落とすのには私の表情を隠す意味合いもある。

「お二人とも心の準備はよろしいようなのでそれでは始めさせて頂きます」

秒針は今丁度頂点を過ぎたところだ。

しかし私はタイミングを合わせた風を装いカウントダウンを開始した。

「十、九、八、七……」

カウントダウンしながらチラリと目を上げ二人を見れば、揃って目を閉じうつむいている。

この時になると大抵の人間はこのポーズになる。

「……三、二、一、ゼロ」


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