明日死ぬ
手紙を書き始めてすぐに涙がこみ上げてきた。

拭いても拭いても涙はあふれて来て、頬をつたってあごから手紙に滴り落ちて文字をにじませてしまう。

もう書いていられない。

両親との思い出が涙と共にあふれてきて胸が一杯になった。

一番古い記憶は3歳の時にどこかで迷子になった時の事。

「お母さーん!お母さーん!」と大泣きしていると必死の表情のお母さんが私を見つけくれた。

そして駆け寄ってきて抱きしめてくれた時のあの安堵感。

ああ愛されていたな、と思った自分に驚いた。

もう過去形だわ私。

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