明日死ぬ
部屋に鍵はかからないけど扉はしっかり閉めて長年使い込んだ勉強机に向かう。

イスに座り一番上の引き出しを開けると、昨日の夜書いた手紙が出てくる。

改めて目を通す。

うん。これでいい。

これだけでいい。

余計な言葉も足らない言葉もない。

万感の想いを込めて手紙を再びしまった。

「自分ではもっと泣いたりすると思ってたのにな」

声にだしてみても心にさざ波ひとつたたない。

意外だわ。

< 73 / 203 >

この作品をシェア

pagetop