H A N A B I
「ずっと考えてたんだ」
肩で息をしながら彼は小さく呟いた。
「どうしたら美和の気持ちに答えられるんだろうって一週間前からずっとずっと考えてた」
「…そう」
「でも結局その答えは見つからなかった」
「うん」
「美和。おれ幸せになるよ」
彼は真っ直ぐに私を見つめた。
「だから美和も絶対幸せになることを約束してくれないか?」
私にとって、それは十分な答えだった。
差し出された彼の小指に自分の小指を絡め、目の奥にこみ上げてきた熱いものを抑えながら微笑んだ。
「うん、約束する」
今までにない大きな花火が夜空を彩る。
一つ、散っては咲いて。
「好きになってくれて本当にありがとう」
また一つ散っては、咲いて。
最後まで笑ってくれるあなたが愛しくて。
心からあなたを好きになってよかったと思った。
「私のほうこそありがとう。絶対に幸せになってね」