愛に溺れろ。

「抵抗するな」


敦志の顔が、
すぐ目の前にある。


息が鼻にかかって
くすぐったい。

逆を言えば、息がかかるほど敦志が近いってこと……



「な、何か…前の敦志に戻ったみたい……」



ボソッとそう呟くと、
クスッという笑い声。


敦志の唇が、
妖艶な弧を描く。


そしてその綺麗な唇が、
あたしの唇へと近付いてゆく―



あ……キス……



あたしは自然に
ゆっくりと目を閉じた。


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