愛に溺れろ。
「やっぱり、そっち……行こうかな?」
ピチャン―と水の滴り落ちる音がお風呂の中へ響く。
「…勝手にしろ」
そう言って外方を向いた敦志に不安を感じながらも、あたしはゆっくりと敦志に近付き胸の中へとポスッと座った。
「…………。」
は、恥ずかしー…
てゆーか何で何にも
言ってくれないの?
駄目……だったかなぁ?
「あ、敦志?」
そっと後ろを振り返れば、そこには顔を真っ赤にして目を見開いている敦志がいた。
「…え?」
「バッ…!おまっ、こっち見んな!」
顔を軽く手で隠しながら焦る敦志に、何だか嬉しくなって思わず笑ってしまった。
「笑うな」
そう言って軽く睨まれ、
後ろから抱きしめられた。
「ごめん」と謝りながら、
あたしの顔は自然と綻んでいく。
「怒ってたんだがな……」
あたしを抱きしめる力に、
ぎゅっと力がこもった。
「可愛かったから、許す」
そうボソッと耳元で囁かれた瞬間、あたしの呼吸は敦志の唇によって奪われた。
それはほんの一瞬で。
だけどすごく長かった。