愛に溺れろ。
『では、校長先生のお話です』
「早くしろよー」
「あっちー…」
夏休み明け9月。
まだ暑いこの時期に
体育館の密集はキツイ。
だけど、あたしの目線の先にいるのは、久しぶりに見る敦志。
嬉しくて、暑さなんて
どこかへ消え去った。
スーツをビシッと着こなし
校長先生の話を聞いている。
そんな姿を見て、
やっぱ先生なんだな。
って実感する。
だけど、普段の敦志からは考えられないほどの真面目さに、自然と笑みが零れた。
って……え?
ふいに、敦志と視線が絡まる。
それだけで真っ赤になる頬。
飛び跳ねる心臓。
そして、そんなあたしに
微笑む敦志。
最後は全然会えなくて
寂しかった気持ちも、
今ので全部飛んで行った。
微笑む敦志に、あたしも笑顔で返すと、敦志はまた校長先生の話へと耳を傾ける。
そんな敦志を見た後あたしは、そっと胸に手を添え、高鳴る鼓動を抑えたのだった…-