愛に溺れろ。
「なっがかったー!」
始業式が終わった後、
麻美が大声で叫ぶ。
「まぁ校長先生だしね」
「常識をしれっつーの!」
怒りを露にしているのは麻美だけではなくて、他の生徒もひそひそと怒りをぶちまけていた。
あたしは……平気だったな。
敦志を見てるだけだったし……
敦志に微笑まれたのを思い出し、
ゆっくりと頬が上昇していく。
「……ははーん」
「え?」
すぐ隣を見れば、
うす笑いを浮かべている麻美。
「ごちそーさまでぇす」
「ちょっ、麻美!」
麻美には、何故かあたしと敦志との間のことが分かったらしく、そのことに、またあたしの頬は赤く染まる。
「ふふ♪よし、教室戻ろっ」
「……うん」
麻美には、
何でもお見通しか。
でもそれは、麻美があたしのことを見てくれているから。
1番の…
親友だから。
麻美…―
「麻美ーっ!すきーっ」
って叫んで
麻美に抱き付く。
そんなあたしに、
「な!?何よー。言う相手が違いますぅ」
なんて言いながら
抱き付き返す麻美。
そうやって戯れ合いながら、
あたし達は教室へ向かった。