愛に溺れろ。

コンコン―


「失礼します……」



周りに誰もいないかをよく確認して、化学準備室へと入る。



だけど中には誰もいなくて。
誰もっていうか敦志いない…

まだ、来てないのかな?


座って待ってよっと。
そう思ったその時…-



ガラガラ…
――ガチャ


え、鍵しめ……



ふいに聞こえたドアの閉める音と鍵を掛けた音。


振り向いた時には、あたしの体は何かに包まれていて……




だけど、恐怖心なんてない。

ほのかに香る煙草の匂い。
何度も抱きしめられた、力強くて暖かくて……優しい腕。


あたしは、知ってるから……



「敦志……」



そっと名前を呼ぶと
ぎゅっと強く抱きしめられる。


そんな敦志の背中に
ゆっくりと手をまわした。




「会いたかった……里香」



そう耳元で呟かれ、
ドキンと心臓が脈を打つ。



敦志は愛しそうに、あたしの頬に自分の頬をすりよせる。



そんな行動が可愛くて、愛しくて……


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