愛に溺れろ。

「…で、何を頑張るって?」  


「あ、うん。今年の……文化祭」


あたしの言葉を聞いて「あぁ」
と思い出したように呟く敦志。



「もうそんな時期か。早いな」


そう言いながら煙草に火をつける。
そんな動作がやっぱり色っぽくて…


「お前のクラスは何するんだ?」


切れ長の目がゆっくりあたしを捕らえる。
その瞳に見つめられドキンと心臓が跳ねた。


あ、あたしのクラスは……


「…えっと~、その…あの……。メイド…喫茶?」



そう言った瞬間空気が凍った。
冗談なんかじゃなく、本当に。


「メイド、喫茶?」


……え゛?
敦志の…声のトーンが変わった…

さっきとは比べ物にならないくらい、
もの凄く低くなってる。


まだ数センチしか吸ってない煙草を近くにある灰皿へと押し付け、あたしに少しずつ近付いてくる敦志に、あたしはゆっくりと後ずさりする。



「何で逃げる?」


「え…いや、だって……」


何か敦志…怖いんだもん。



「いつもなら喜んで飛びついてくるだろう」



それと今は状況が違うよ~(涙)

なんて思っていると、
トンと壁にあたってしまった。

え!?もう下がれない……


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