愛に溺れろ。
――ガラッ
「失礼しま……」
「おっ、来たか」
そう言って振り返った
横山 敦志。
教師のくせに煙草をくわえながら、少し長めの髪が風になびく。
綺麗だと……本当に思う。
あたし達にはない大人の魅力が、この横山 敦志には詰まっている。
「……何の、用ですか」
「その前に……遅刻だ」
「え?」
「45秒。タイムオーバー」
「はっ?」
「言ったはずだ。1分以内……とな」
そう言って唇の端を上げ、妖艶に微笑む。
迂闊にも、その整った顔立ちにドキッとしてしまった。