愛に溺れろ。
「良いな?」
「えぇ?」
「黙れ。答えは『はい』だ」
先生は……いつも強引だ。
本当にあたしはこの人に告白されて、そしてキスまでされたのだろうか?
あれは、あたしの夢だったんじゃないのかな?
本気でそう思うほど、先生の態度は全く変わっていなかった。
「……はい」
「よし。行け」
「……はい」
何だか……拍子抜け。
あんなに考えてた自分が、馬鹿みたい。
「失礼しまし「里香!」
「えっ?」
振り返ると……満面の笑みでこっちを見ている、先生がいた。
「逃げるなよ?」
「……逃げません。後が怖いから」
少し頬を膨らませそう言うと、
ブハッと笑ったあっちゃん。
「それに……逃げたくないもん」
そう呟いたあたしの声は、
今はきっと届かない…-