愛に溺れろ。
キーンコーンカーンコーン
「おらー、席つけー」
チャイムが鳴ったと同時に教室へ入る。
すぐさま確認した、里香の席。
バッチリと絡む2人の視線。
そのまま微笑むと、
スッ視線を外された。
気付いてるか?里香。
お前の頬は今、りんごより赤い。
そして俺の心は今、
嬉しすぎて、飛び跳ねそうだ。
「授業始めるぞ。65ページ開け」
生徒が俺の指定したページをめくる間にも、俺の視線は自然と里香へ行く。
自分がサボってる間にかなりのページ数が進んでいたことに気付き、小林 麻美に聞いているようだ。
俺の授業をサボった罰だよ、里香。
せいぜいテスト前に焦るが良い。
俺がみっちり教えてやるよ。
優しく……な。
暫らくして、
授業終了のチャイムが鳴る。
「今日はここまで。ちゃんと黒板写しとけよ」
そう言って教室を出る際、
里香をチラッと見る。
重なる視線に喜びながら
目で『サボるなよ』と訴える。
そんな俺の視線に里香はムスッとした表情で答え、俺は誰にも見られないよう微かに微笑んだ。