愛に溺れろ。
「終わったー!」
……良い笑顔すんじゃねーか。
俺には見せねーくせに。
「さんきゅ。助かった」
「えっ、……うん」
「ほら、帰る準備しろ」
「え?」
「もう遅い。送ってやる」
なんて、本当はこれが目的だったりして。
「で、でも……」
「良いから早くしろ」
「……うん」
すぐに帰る準備をし、
俺の後ろへ小走りでやってきた。
里香が来たところで
電気のスイッチを切り鍵を閉める。
「行くぞ」
「……はい」
チョコチョコと後ろを歩く里香。
まぁ、それも可愛いが……
「おい、隣歩け」
「ぅえ!?」
「変な声出しやがって……。いいからこっち来い」
そう言うと里香は、少し躊躇しながらも俺の隣を歩き出した。
俺はバレないように微笑むと、
ゆっくりと歩き、駐車場へと向かった。