愛に溺れろ。


昨日マンションに帰った俺は、
里香にメールを送った。



『明日8時。家の前まで迎えに行く』




たった2文のメール。

だけどこのたった2文のメールを送るのに、俺は1時間以上もかけた。





本当……ダサすぎだ。
でも、こんな自分…嫌いじゃい。





誰かを好きになるのって……こんなに幸せになれるんだって、思えた。








「……先生?」



「んあ?」



「聞いてた?」



「あぁ…わり。聞いてなかったわ」



「何処に行くの?って聞いてたんですけど……」




今は車に乗り込んで運転している途中。里香には行き先を伝えず、ただ走っていた。




「ああ。……着いてからのお楽しみ、だな」




俺の返答に納得しない様子の里香だったが、俺の性格を知ってるからか、それ以上何も追求してこなかった。




「それより里香、」



「はい?」


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