愛に溺れろ。
「良い加減、その『先生』はやめろ」
「え?」
「俺はお前の彼氏だろう。それに普通に考えて……『先生』は、ヤバイ」
「あっ、そっか」と呟くと、
顎に手を当てて考える里香。
急にパッと顔をあげるのが
目の端に映った。
「じゃあ、何て呼べば良い?」
「お前の好きなように呼べば良い」
「……あっちゃん?」
「……お前も、俺のことをそうやって呼んでたのか」
「え?」
俺は正直、『あっちゃん』と呼ばれることが嫌いだ。
昔の女が、俺の名をそう呼んでいたから。
生徒の間じゃもう慣れてきたが、
里香にだけは呼んで欲しくない。
「お前は馬鹿か」
「えぇ!?」
「お前が呼ぶ名など、一つしかないだろう」