愛に溺れろ。
「うっそ……。遊園地?」
「不満か?」
助手席のドアを開けながら、
少し苛立った……敦志。
「いや、そう言う訳じゃ……」
いったん車を降り、
チケット売り場へと向かう。
「じゃあ何だ?」
何だって言われても……。
「普通、遊園地にいきなり連れて来られたら、誰でもビックリするよ」
「仕方ないだろう。街中じゃあ、いつ生徒と会うか分からん」
「……そうだけど」
「ほら、行くぞ」
そう言って、あたしの目の前に差し出された手。
パッと敦志の顔を見ると、
少し赤く染まっている頬。
照れて……るのかな?
何だか嬉しくなったあたしは、「ふふ」と笑みが零れた。
「わ、笑うな!クッソ……早くしろ」
より一層あたしの前に差し出された手に、そっと自分の手を重ねた。
その刹那、ぎゅっ―
と握られたあたしの手。
それに答えるように、
あたしもその手を握り返した。