愛に溺れろ。
「うっわー…。人多い……」
「そりゃ、休日だからな」
お金を払う時離された手は、
ゲートをくぐるとすぐに絡み合った。
そんな些細なことがどうしようもなく嬉しくて……あたしはもう抵抗することなんて忘れていた。
「ほら、行くぜ」
「えっ、何処に?」
「遊園地と行ったらジェットコースターだろ」
平然と言う敦志を余所に、あたしは顔から血の気が引いていくのを感じた。
分かってるよ?
遊園地と言えばジェットコースターってことくらい……。
でも……、でも…-!
「むりぃーーー!!」
「はぁ?」
繋いだ手をグッと引っ張り
空いてる手で腕を掴む。
「ジェットコースターだけはー無理!」
「……へぇ……」
納得……してくれた?
そう思って見上げた敦志の顔は……今まで見たことないくらい、意地悪だった。