愛に溺れろ。
「なぁ、里香」
「ん?」
「お前を好きだと言った俺の気持ちを、お前は嘘だと思っているか?」
え、何ソレ。
嘘だと思ってるか?
それって……。
「嘘、ってこと……?」
目の奥が熱くなる。
あと一言。
あと一言、敦志が口にした言葉があたしの何かを刺激すれば、それは目から止めどなく溢れ出る。
「何、泣きそうになってんだ」
うっすら微笑み、
あたしの髪を撫でる。
「嘘なわけないだろう。ただ、あれは突然すぎたから。もしかしたら……と思っただけだ」
涙が頬を伝う。
悲しいからじゃない。
敦志の言葉が嬉しすぎて、
勝手に目から溢れ出た。
そんなあたしを見て、敦志はそっとあたしの頬に手を当て、親指で涙を弾いた。
「お前は、結局泣くんだな」
と言った敦志の顔は、幸せそうで。
「敦志の、せいだよ……」
何て笑って見せた。
目を一瞬大きく見開いた敦志が、優しい甘い時間をくれたのは、それから約3秒後。
拒むことは、もうしない―