愛に溺れろ。

やっと順番が回ってきて、中へと乗り込む。



「いってらっしゃいませ〜」



と言うスタッフの機械的なセリフと共に閉まるトビラ―




約15分間の密室状態。





敦志に聞こえそうなくらいの心音。


高鳴る胸が、張り裂けそう。





「頂上だ」


「え?」



まだ、乗ったばかりだけど……?



「この観覧車が頂上に着いた時、お前からキスをしろ」


「……へっ?」



「約束だろう。忘れるな」



忘れてないよ……。
忘れてなんかないけど。



まさか、そんなことなんて……思わないじゃない。




徐々に赤くなる頬に、
自分でも気付く。



そんなあたしの反応に
うっすらと目を細めた敦志は、


「まだかな……♪」


なんておどけて見せた。

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