愛に溺れろ。

「……約束は?」


「ごめん……」


「嫌い、なのか」


ボソッと放たれた言葉。


その言葉には、
悲しみが満ち溢れている。



けれど、あたしはそれに気付かない。





「俺のことが、嫌いなのか?」


今度は強く、ハッキリとした口調で響いた声。





嫌い……?何言ってるの?
好きに、決まってるじゃない。




溺れろと言ったのは敦志でしょ?
あたしは溺れて良いんでしょ?


だから今、あたしは隣にいるんだよ?




なのに、嫌いなのか?
なんて言わないで―




「恥ずかしいの」


「え……?」


「自分からなんて恥ずかしいの。だからって、敦志が嫌いなわけじゃないよ!」


握られていた手を、
今度はあたしが握り返す。



「あたし……あたし、敦志のこと……好き――」


伏せていたままの顔を上げた瞬間、塞がれた唇。



敦志の熱が、想いが、唇からキスを通じて伝わってくる。


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