愛に溺れろ。
今までとは全然違う、
むさぼる様な深いキス―
零れる吐息が、小さな箱の中に響き渡る。
「…り……かっ、」
胸が……苦しい。
こんな激しいキスの途中に、愛おしそうにあたしの名前を呼ばないで。
嬉しくて……もっと敦志を求めてしまう。
こんなたった数週間で、
敦志にどんどん溺れてる。
これ以上溺れたら、
あたしはどうすれば良い?
そっと、離される唇。荒い吐息。
キスの後、いつも余裕を保ってる敦志が、初めて見せる苦しそうな表情。
敦志が、あたしを求めてくれた。
嬉しくて……でも少し恥ずかしくて、頬を軽く染め俯く。
「少し……やりすぎたな」
その言葉にパッと顔を上げると、敦志の整った顔がクシャッと崩れていた。
そんな敦志のあたしを見つめるその瞳に、あたしの中に生まれた欲望が溢れ出す。
「あ、敦志……」
「ん?何だ?」
もっと……、
「お帰りなさいませ〜」
えっ……!?
気付かぬ内に地上へと
戻っていたあたし達。
甘い時間が、スタッフのたった一言で消えていった。
敦志は何事もなかったかの様に観覧車を降り、あたしはその後を茫然とついて行く。
せっかく、勇気を出そうと思ったのに……。