愛に溺れろ。


「里香……」



耳元で囁かれる甘い声。

その声に、あたしの神経全てが奪われる。



そっと体を離した敦志は、整った顔を少しだけクシャッと崩した。



「そういえば……ちゃんと言ってなかったな」



「え…?なにを?」



そう問えば、
ほのかに染まる敦志の顔。




そして、あたしの視線を逸らすことなくまっすぐ見つめる。





「里香が好きだ。お前が傍にいないと、狂ってしまいそうなほどに」



フッと細められた瞳。
優しく髪を撫でる大きく温かい手。



初めて直接聞かされた
『好き』という言葉。



嬉しくて、涙がポロポロと零れ落ちる。



「あつ……し……」



止めどなく溢れ出す涙。
それを敦志が指で弾く。



そして、その後訪れた甘い時間―




敦志に身をゆだね、
本能のままに唇を重ねる。



「す……き、…」


そう囁いた瞬間に、
激しくなる熱い口付け。


この時間が、
ずっと続けば良いのに……



そう思ったのは、
敦志も一緒だよね?






< 57 / 129 >

この作品をシェア

pagetop