愛に溺れろ。


「じゃあ気を付けて帰れよ」



ニコッと笑う敦志に、
自然とあたしも笑顔を向ける。



一瞬じゃ終わらなかった甘いキスは、
あたしが息が出来なくなるまで続いた。




呼吸が整るまで少し休憩したあたしは、元に戻ったところで帰ることにした。




「それじゃ、また明日」



「ああ、またな」



最後にうっすらと微笑んだ後、科学準備室を出た。


ゆっくりと下駄箱に向かい、
そのかんにそっと唇に指を当てる。




今までキスは幾度と無くしてきた。

それでも今日のキスと今までのキスとでは、入っている気持ちが全然違う。




「知らなかった……。キスってこんなに温かい気持ちになれるんだ」




そっと胸に手をあてれば、
ドキドキと脈を打っているのが分かる。



そうしていつの間にか着いた下駄箱で靴を履きかえると外へと出る。





「え?嘘。もう暗いじゃん」




真っ暗とは言えないけれど、少し怖くなったあたしは、足早に家へと帰った。



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